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本研究では、精子鞭毛運動の調節機構の全容解明を最終目標とする。研究期間中においては、主に精子走化性等の卵由来物質による鞭毛運動の調節システムの解明に焦点を絞り、これまで構築してきた精子鞭毛運動のイメージングシステムを用い、カタユウレイボヤ精子誘引物質SAAFによる精子走化性運動時の鞭毛運動制御機構の解明を試みている。
走化性行動中の精子頭部の軌跡を記録すると、精子が誘引源から遠ざかる方向に移動するときに鞭毛の非対称性が増し、軌跡の曲率が一過的に減少することを明らかとしている。そこでこの鞭毛の非対称性がSAAFのどのような濃度変化によって引き起こされているのか検討した。さらに、我々がこれまで開発した、精子鞭毛内イメージング装置を用い、阻害剤等の鞭毛内Ca^<2+>濃度変化への作用と走化性における鞭毛打への作用を調べた。その結果、精子が誘引源から遠ざかる方向に移動する時におけるSAAF濃度の極小値が刺激となり、鞭毛内カルシウムが増加し、鞭毛の非対称性が増大していることが示唆された。また、ユウレイボヤの精子活性化及び走化性にはNa^+/Ca^<2+>exchanger(NCX)が重要な働きを持つが、実際に細胞内Ca^+の変化に影響を与えていることが明らかとなった。
さらに、より詳細なナノシステムの解明のため、領域内共同研究として筑波大学稲葉博士との共同研究により、遺伝子改変カタユウレイボヤを用いた精子鞭毛運動の解析を開始した。
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