ミオシン繊維の動態と繊維化の解析 EGFPミオシンを発現させた細胞で、全反射蛍光顕微鏡によって細胞腹側の細胞膜近傍のミオシン繊維の挙動を高感度カメラにより画像取得し、細胞運動に伴う挙動を解析した。ミオシンは、双極性の繊維として観察できた。それらは、表層に約7秒滞在した後消失した。mRFPアクチンをEGFP ミ オシンと同時発現した細胞を観察すると、すべての表層のミオシン繊維はアクチン繊維に結合していることがわかった。表層からのミオシン繊維の解離はリン酸化を介したミオシン繊維の脱重合によることがわかった。 ミオシン遺伝子の改変による細胞内構築の解析 ミオシンが細胞尾部に集合するのに、ミオシンのモーター活性が必要かどうかを調べるため、ミオシンのモータードメイン内の点突然変異によりモーター活性のないミオシンを形質導入した。その結果、ミオシンが細胞尾部に集まるのにはモーター活性は必要ないことがわかった。また、リン酸化できないようなミオシンで細胞尾部に集まるかどうかを調べたところ、尾部に集まるが過剰に集まった。リン酸化そのものは細胞尾部に集まるのに必須ではないが、過剰になったのは、分子の繊維化への平衡の偏りが原因と考えられた。今後、リン酸化酵素とミオシンの反応を細胞内で直接可視化し、リン酸化がどのように細胞内でのミオシンの分布の調節に関わるのか検討していきたい。 ミオシン繊維から細胞の力の出力まで ミオシン繊維から細胞の力の出力までを観察するために、我々が最近開発した全反射蛍光顕微鏡法と同時に力測定する方法(Evanescence-Force Microscope)を用いた。細胞から伸びる突起が収縮する時にミオシン繊維が集合した。モーター活性のないミオシンを用いたところ、集合は見られるが力が発生していないことから集合したミオシンが力を発生させたことが実証できた。
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