研究概要 |
我々はCENP-Aクロマチン複合体(ICEN)の構成因子として既に40種類のタンパク質を明らかにしているが、本研究ではそれらの構成因子それぞれの機能を明らかにし、CENP-Aクロマチンダイナミクスを解明することを試みている。ヌクレオソームリモデリング活性を持つICEN2/8複合体がCENP-Aヌクレオソームリモデリングを担うことを証明するためにさらに解析を進めた。我々は細胞生物学的な実験(細胞の免疫染色、細胞周期)、細胞機能の解析(siRNAを用いたノックダウン実験)、生化学的実験(精製蛋白を用いた試験管内ヌクレオソーム再構成実験)を行い、すべての実験においてRSFリモデリング複合体がセントロメアCENP-Aクロマチン形成に関与する事を示唆するデータを得た。これまで解決できない問題として、siRNAを用いてRsf-1蛋白を除去しても、セントロメアに局在するCENP-Aの強度が減少しないことがあった。われわれは、単離核、あるいは細胞を0.5-0.6M NaClで処理することによって、siRsf-1処理後にセントロメア上のCENP-A強度が著しく減少することを発見した。これらの結果をもとに我々はCENP-Aがセントロメアに局在する様式として、2段階モデルを提唱した。第一段階 : CENP-Aは何らかのシャペロン蛋白により、G1初期にセントロメア領域に緩い結合によって導入される、第二段階 : RSF複合体がセントロメア上のCENP-Aを安定なヌクレソームとしてリモデルし、最終的なセントロメアクロマチンが形成される(Perpelescu et al, JCB, 2009)。最近の報告にようと、本研究から予想されたシャペロン蛋白がHJURP複合体であることが明らかにされた(Foltz et al, Cell, 2009 : Dunleavy et al, ibid)。
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