研究課題
・DNA損傷時の複製フォーク進行ダイナミクスとその制御機構について解析し、新たなDNA損傷応答機構を解明した。まず、個々のDNA分子上で複製フォークの進行を可視化解析できる解析法を確立した。これを用いてDNA損傷時の複製フォーク進行制御にpoly(ADP-ribose)polymerase-1(PARP-1)が関与していることを見出すとともに、PARP-1はDNA損傷を与えない通常時において、複製フォーク複合体と相互作用していることを示した。さらに、各種損傷修復関連因子欠損DT40細胞を用いた解析により、相同組換えの比較的初期段階の実行過程が複製フォーク進行停止または遅延を引き起こす引き金になっていること、PARP-1は非相同末端結合因子であるKu70をpoly(ADP-ribosyl)化することによりKu70の損傷DNA領域への結合を阻害し、相同組換え因子の損傷DNA領域への結合を保証していることを示した。・核マトリックスと転写・複製時のクロマチンループのダイナミクスを解析し、HSP70遺伝子領域のクロマチンループ構造を明らかにし、熱ストレスに応答して転写ファクトリーが核マトリックスでHSP70遺伝子の転写を行うこと、ゲノムDNAの複製が核マトリックス上で起こること、転写活性化が同領域の複製開始の効率を低下させることなどを明らかにした。・DNAメチル化阻害時のヘテロクロマチン領域における複製タイミング、転写、ヒストンのエピジェネティックな動態との相関関係について解析し、セントロメア周辺ヘテロクロマチン領域のDNAのメチル化が減少することで複製タイミングが早くなり、転写が活性化されるに伴って、その後のクロマチンアッセンブリーの際、ヒストン修飾の構成に大きな恋化が起こるとを明らかにした。
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Proceedings of National Academy of Science, U.S.A. 106
ページ: 3184-3189
Journal of Cell Biology 183
ページ: 1203-1212