研究概要 |
ヒストンH1バリアントは高等真核生物に共通して世代交代や発生・分化にともなって変化する(Godde and Ura, in press)。リンカーヒストンH1はヌムレオソームコアの外側からクロマチンに結合して、クロマチン高次構造を安定化するが、バリアントによるクロマチン構造と機能の違いはよくわかっていない。申請者は、卵細胞特異的なリンカーヒストンH1(B4)がリプログラミングのエピジェネティクス制御の一端を担っていると考え、体細胞型ヒストンH1との違いを明らかにするために、再構成クロマチンを用いて解析を行った。これまでに用いてきたリンカーDNAを含む最小クロマチン単位を再構成するジヌクレオソーム(5S-Dinucleosome)系を改良し、高次のクロマチンファイバー再構成系をリンカーヒストンシャペロンNAP-1を用いて確立した。そして解析型超遠心法による沈降係数測定から、リンカーヒストンB4と体細胞型H1Aを含んだ再構成クロマチンファイバーの形状の違いを見出した。そして, 細胞核で、リンカーヒストンアセンブリーの制御も含めてバリアントによる機能の違いを検証するために、出芽酵母核でバリアントの機能の解析を開始した。出芽酵母には内在性の通常のリンカーヒストンが存在しない。そこで、出芽酵母にGALプロモーター制御下でC末端にFLAGタグを付加したB4およびH1Aリンカーヒストン遺伝子発現プラスミドを導入した。ガラクトースにより誘導発現したそれぞれのリンカーヒストンは、クロマチンに結合した。すなわち、B4およびH1A、2種のヒストンH1バリアントが結合したクロマチンを出芽酵母核内に構築することに成功した。
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