研究課題/領域番号 |
19038018
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
斉藤 典子 熊本大学, 発生医学研究センター, 助教 (40398235)
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研究分担者 |
中尾 光善 熊本大学, 発生医学研究センター, 教授 (00217663)
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キーワード | 細胞核内構造体 / RanBP2 / SUMO / 神経分化 / マウスES細胞 / Oct3 / 4 / ヒストン修飾 / エピジェネティクス |
研究概要 |
1.細胞核内構造体におけるタンパク質SUMO化修飾の役割解析 ユビキチン様ファミリータンパク質SUMOは、様々な因子を修飾し、被修飾タンパク質の細胞内局在やタンパク質の持つ活性等を変換する。SUMO E3活性を持つ、核膜孔タンパク質RanBP2のノックダウンにより、核スペックル形成が不全となる事象について解析した。核スペックルに関連する機能である転写とRNAスプライシングについてそれぞれ、RT-PCRにより解析した。 2.マウスES細胞の分化過程における核内構造と遺伝子発現制御機構 細胞の分化過程では、遺伝子発現プロファイルの変化を通して、幹細胞および前駆細胞が特定の系譜の細胞に変化する。細胞分化とともに選択的に抑制されるOtc3/4遺伝子座に着目して、マウスES細胞→神経前駆細胞→ニューロンに高度に均一に神経細胞へ分化する系を用いて、分化に伴う遺伝子の発現制御に細胞核内構造、クロマチン、DNAメチル化がいかに関与するかを調べた。免疫FISH法により、分化前ではPMLボデイーの近傍で活発に転写されていたOct3/4遺伝子が、分化とともに距離を離しながら抑制されていることを見いだした。また、クロマチンIPにより、神経前駆細胞ではOct3/4遺伝子の転写は抑制され、ヒストンH3K4の脱メチル化、H3K27のトリメチル化が昂進され、ニューロンではさらに加えてCpGメチル化がOct3/4遺伝子座のプロモーター部位に集中して起きることを見いだした。よって、マウスES細胞の神経分化段階における遺伝子発現制御とクロマチン修飾、そして核内構造で構成されるエピジェネティック制御機構が時空間的に協同することを明らにした。
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