研究課題
染色体ダイナミクスをヌクレオソームレベルで解析するために、ヒト由来のヒストンをリコンビナントタンパク質として精製し、試験管内再構成系によりヌクレオソームの再構成を行った。特に、ヒトにおいて確認されているピストンH3バリアント、H3.1、H3.2、H3.3、H3.1tに着目し、それらをリコンビナントとして発現精製して、ヌクレオソーム形成能を調べた。その結果、これら全て4種類のヒストンH3バリアントは、いずれも試験管内でヌクレオソーム構造を形成することが明らかになった。次に、クロマチン構造ダイナミクスにおいて、ヌクレオソームの形成や解離のステップで重要な役割を果たすヒストンシャペロンに着目し、それらの反応機構をリコンビナントタンパク質を用いた試験管内再構成系によって検討した。本年度では、NAP1、NAP2、そして新規ヒストンシャペロンPP2Cgammaを特に取り上げ、それらの精製系を確立した。そして、それらのヒストンシャペロンとヒストンバリアントとの相互作用およびそれらのヌクレオソーム形成に及ぼす影響の解析を、試験管内再構成系を用いて行った。その結果、NAP2およびPP2Cgammaは全てのヒストンH3バリアントのヌクレオソーム形成を触媒することができるが、NAP1は精巣にて高発現が確認されているH3tのヌクレオソーム形成能において顕著な欠損を有することが明らかになった。NAP1は、その他のヒストンバリアントと同様に、H3t-H4複合体への結合能は持っているが、H3t-H4複合体をDNA上ヘローディングする能力が低いことが分かった。これらのことは、ヒストンシャペロンによる染色体ダイナミクスを理解する上で、重要な新発見であった。
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