研究課題
クロロフィル代謝は約20ステップから構成されている反応である。クロロフィル代謝は、その中間体が活性酸素を発生させる危険な分子であることや、生物活性のない分子に容易に変換してしまう性質を持っているため、厳密な制御が要求される。しかし、その厳密な制御は不明である。クロロフィリドaオキシゲナーゼ(CAO)はクロロフィルaをクロロフィルbに転換する酵素である。クロロフィルbの量はCAOタンパク質の蓄積によって制御されている。CAOはA、B、Cの3つのドメインからなる。そのうちAドメインがCAOタンパク質蓄積の制御に関わり、さらにその制御はClpプロテアーゼによるCAOの分解によるものであることがわれわれのこれまでの研究で明らかになっている。今年度は、Aドメイン内の分解に関わるアミノ酸配列を同定するために、シロイヌナズナの形質転換体を用いて解析を行った。その結果、Aドメインの内部に存在する10アミノ酸残基が自身の分解に関わっていることが明らかになった。さらにこの配列を直接GFPに融合すると、葉緑体内でのGFPの蓄積を制御することも明らかになった。このことからこの配列は葉緑体内で一般的に働くシグナル配列であることが明らかになった。このような配列は葉緑体内では初めての報告となる。この配列は大腸菌のClpプロテアーゼのシグナル配列の特徴と類似した点が多い。また、Aドメイン中にあるこの配列はクロロフィルb依存的に分解配列として機能するが、このシグナル配列のみだとクロロフィルb非依存的に機能することがシロイナズナの形質転換体を用いた解析で明らかになった。
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