研究課題
本研究では栄養素のリサイクル機構を通して植物の環境応答性と深く関わる葉緑体タンパク質の分解機構について、主に葉緑体、液胞、および膜輸送系の動態の面から明らかにすることを目的とし、本年度は以下の2項目について実験を行った。(1) RCB形成シグナルの解析先に確立した葉緑体移行GFP発現シロイヌナズナと共焦点レーザー顕微鏡を用いたRCBの生葉における可視化法を駆使して、RCB経路の発現が、葉齢や生長段階(栄養生長と生殖生長)、窒素栄養や光条件によってどう調節されているのかについて解析した。切離葉においては、RCBは暗所や光合成が阻害されたりする状況下、すなわち炭水化物が枯渇する条件で多く蓄積した。(2) 野生体およびatg変異体における葉緑体及び主要葉緑体タンパク質の消長の実態解析atg変異体では野生体と比較して老化時のクロロフィルの減少が早く起こっていた。一方、Rubiscoについては老化初期に減少速度が遅延するものの、老化過程全体では野生体と同様の減少速度を示した。またatg変異体では葉緑体数は老化後期まで一定レベルに保たれていることがわかった。さらに老化が促進される条件である個葉暗処理下では、野生体ではRCBや葉緑体が液胞に輸送され、葉緑体数、サイズが減少するのに対し、atg変異体ではそのような移行は観察されず、処理期間を通して葉緑体数、サイズはほぼ一定に保持されていた。個葉暗処理下におけるRubiscoやクロロフィルの消長は自然老化過程とほぼ同様であった。
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