研究課題
1 低温環境下での葉のAOXの役割の解明AOXが誘導されやすい低温下においてシロイヌナズナ野生株(WT)とAOXla遺伝子のT-DNA挿入株(aoxla)の葉を比較した。低温後、WTでは主にAOXla遺伝子が誘導された。aoxlaでは低温後に、ATP合成とは共役しないNDB2やUCP1が誘導された。またaoxlaではWTよりも活性酸素消去系遺伝子がより誘導された。aoxlaでは葉に炭水化物が蓄積し、葉の炭素(C)/窒素(N)比はWTよりも高くなった。低温下の葉ではAOXは葉のCNバランスを保つのに働いていると考えられる。2 NH_4^+条件下でのAOXの誘導メカニズムの解明NH_4^+条件に植物体を移すと、呼吸速度の増加とAOXの誘導がおこるが、詳細は不明である。今年度はNH_4^+条件下におけるAOXの誘導メカニズムを明らかにすることを目的とした。シロイヌナズナ野生株を様々な窒素環境に移し、シュートのAOXの最大活性、NO_3^-量、NH_4^+量の変化を調べた。その結果、NH_4^+条件下におけるAOXの誘導は、NH_4^+量の増加や過剰還元力の蓄積量の増加よりも、主にNO_3^-量の減少により説明できる可能性が高かった。3 葉の呼吸鎖遺伝子の発現誘導メカニズムの解析呼吸鎖と光合成系との相互作用において、葉緑体やミトコンドリアから核へのシグナル伝達により、呼吸鎖遺伝子が誘導されると考えられているが、その詳細は不明である。シロイヌナズナ葉に様々処理を行い、呼吸鎖遺伝子の発現を解析した。その結果、強光処理に誘導される複数の遺伝子のうち、AOXlaとNDB2は呼吸鎖の阻害やH_2O_2により共発現されること、NDA1は光合成系からのROSに誘導されることがわかった。
すべて 2008 2007 その他
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件) 学会発表 (11件) 備考 (1件)
Plant and Cell Physiology 49
ページ: 19-29
Plant, Cell and Environment 31
ページ: 50-61
Mitochondrion 8
ページ: 87-99
Plant, Cell and Environment 30
ページ: 1269-1283
Plant Journal 52
ページ: 512-527
Functional Plant Biology 34
ページ: 673-682
Plant and Cell Physiology 48
ページ: 606-614
http://www.biol.s.u-tokyo.ac.jp/users/seitaipl/index.html