研究概要 |
頂芽切除前後のエンドウの茎からプラスチドを調製し、両プラスチドに含まれるタンパク質で量が変動するものを、質量分析法を用いた比較プロテオーム解析により検索した。昨年度の反省に立ち、今年度は比較プロテオーム解析の手法としてiTRAQ法を用いて、頂芽切除0,6,12,24時間後の茎から調製したプラスチドを解析対象とした。各タンパク質画分をトリプシンでペプチドに消化後、0,6,12,24時間後の画分をそれぞれiTRAQ 114,115,116,117の修飾試薬で標識した。その後、これらを一つにまとめ、pHを3以下に調整後、Mini Sカラムで6つの画分に分画した。続いてこれらの画分を逆相クロマトグラフィーによって60の画分に分画した。これら360画分をMALDI-plateにスポットして質量分析計4700を用いてMS解析、引き続きMS/MS解析を行った。結果として約2,000のペプチドについて増減を解析した。ほとんどのタンパク質は頂芽切除前後で2倍程度の増減しかしていなかった。頂芽切除後3倍以上増加するペプチドは15本、また1/3以下に減少するものは6本見いだされた。これらのペプチドをMS/MSスペクトルから配列を推測し検索した結果、そのうちの一つはCu-Zn-superoxide dismutaseであり、茎が切り取られたことによる傷害によって誘導されたと思われた。
|