研究課題
Nudix(Nucleoside Diphosphate linked some moiety X)hydrolaseは、ヌクレオシド2-リン酸類縁体に対する加水分解活性を有する酵素ファミリーである。高等植物シロイヌナズナには細胞質(12種)、ミトコンドリア(7種)、葉緑体(8種)などに計27種類ものNudix hydrolaseが局在していると推測されることから、各オルガネラでの種々のヌクレオシド2-リン酸類縁体の代謝が酸化ストレス応答や代謝調節などの多様な細胞応答に大きな影響を与えていることが示唆される。本研究では、リコンビナントタンパク質を用いて、推定オルガネラ局在型AtNUDXの基質特異性および細胞内局在性を解析した。その結果、AtMIDX15はミトコンドリアに局在し、CoAおよび種々のCoA誘導体を特異的基質とすること、AtNUDX14、AtNUDX19、およびAtNUDX23は葉緑体に局在し、それぞれADP-ribose、NADPH、およびFADを基質とすることが分かった。また、遺伝子破壊株を用いた生理機能解析から、細胞質局在型のAtNUDX1が唯一の酸化ヌクレオチド加水分解酵素として酸化ヌクレオチドの核、ミトコンドリアおよび葉緑体ゲノムへの取り込みを防いでいることを示した。さらに、AtNUDX2はポリ(ADP-リボシル)化サイクルから生成する遊離ADP-リボースのリサイクルにより、細胞内エネルギー状態を維持することで酸化ストレス耐性に寄与していること、AtNUDX7は生体内でAtNUDX2とは異なりADP-riboseだけでなく、NADH代謝を介したPAR反応制御にも関与することで酸化ストレス防御に機能していることを明らかにした。
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