研究課題
NSAIDターゲットの生化学的手法による単離・精製 NSAIDがLOXを標的としているという仮説が本研究はよって否定されることも想定し、NSAIDおよびSAの標的をマイクロビーズ担体を使用したアフィニティ精製によって単離するという別のアプローチを平行して実施した。東工大の半田先生らにより開発されたSGビーズ担体はミラクルビーズとも呼ばれ多くの実績がある(倉森ら、ケミカルバイオロジーケミカルゲノミクス、Springer、半田編、3-14)。化合物をそのアミノ基を介してSGビーズに固定し、培養細胞タンパク質抽出液を用いてアフィニティ精製し、溶出タンパク質を質量分析計で直接同定した。質量分析は理研プロテオームプラットフォームを利用した。SAの活性アナログであるBTHやINAなどはSA合成不全変異体においても抵抗性関連遺伝子発現活性を発揮することからそのターゲット分子はSA増幅経路以外であることを示しており、これはSAの標的分子が複数存在することを示している。従ってSA自体を基質とした場合には標的候補タンパク質が複数個得られる可能性があり、これは別の発見となる。SAを基質としたアフィニティ精製によるタンパク質分離はKlessigらにより行われているもののSAの効果を説明するには至っていない(Du and Klessig, Plant Physiol (1997) 113;1319-27)。SGビーズは従来の担体と比較して飛躍的に性能が向上していることと、近年の質量分析技術の発展により、新規結合タンパク質(受容体)の同定が期待できる。NSAIDターゲットの遺伝学的手法による単離 NSAIDおよびSAの標的タンパク質が量的に少ない、あるいは結合が弱い場合、生化学的単離は困難である。この場合に備えてNSAIDおよびSAの標的を遺伝学的手法により単離した。具体的にはJAによって誘導されるVSP遺伝子のプロモーターをつないだルシフェレースマーカーをもつシロイヌナズナの遺伝子組換体に変異をかけたプールからNSAIDおよびSAによっても発現が減少しない変異体を単離した。
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Molecular Systems Biology 4
ページ: 193
Current Biology
ページ: 1396-1401
http://www.riken.go.jp/r-world/info/release/press/2008/080506/detail.html