本研究ではメダカを用い、卵形成開始を指標に性分化の分子機構を解明することを目的とする。メダカの生殖巣性分化において雄決定遺伝子dmyはふ化2日前より雄体細胞で発現を始める。次いで早い性特異的遺伝子は今のところ、卵形成のイニシエーターfigαで生殖細胞が卵形成に入ると同時に発現を始める。この2日間に生殖巣で何が起こっているかがメダカ性分化研究の焦点である。研究の二つの柱はa. 卵形成のイニシエーター遺伝子figαの転写調節機構をフグゲノムを利用したレポーターアッセイで調べることとb. 遺伝子型と表現型のどちらでも雌雄を判別できるメダカ系統を用いた、ENUによるメダカ性分化変異体の探索である。(結果)a. figαの転写調節機構-フグ、テトラオドンfigα領域を基に内在性figα発現を、transgenic魚で再現できる複数のコンストラクト作成に成功し論文とした。現在フグの約5kb領域に注目しfigα転写調節を司る最小のcis領域を塩基欠失/変異を導入し解析している。b. メダカ性分化変異体の探索-通常のG3スクリーニングで劣性変異体を探索している。G0雄にENU処理を行った。現在、およそ40のG2家系のG3のスクリーニングより、XX(遺伝的雌)で蛍光(卵母細胞)を持たないものとXY(遺伝的雄)で蛍光を持つもの数系統の候補を選べた。現在XX雄の2系統につき、さらなる遺伝解析と原因遺伝子座の同定を行っている。下記研究協力者にもG3のスクリーニングの一部を分担してもらった。[研究協力者]新潟大学・理学部環境生物学講座・酒泉/濱口研究室及び宇都宮大学・遺伝子実験施設の松田氏。
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