研究課題
脳の雄性化は、新生児期におけるステロイド暴露によって引き起こされる。近年、ラット視索前野ニューロンにステロイドが作用するとスパイン形成が亢進されること、またこの作用はインドメタシンによって阻害され、プロスタグランジン(PG)E2により再現されることが示され、PGE2が視索前野スパイン形成とオス性行動発現に必須の役割を果たすことが明らかとなった。本研究の目的は、オス性行動の発現に関与するPGE2受容体(EP)を同定し、スパイン形成亢進の分子基盤を明らかにすることである。以下に19年度の成果を示す。(1)オス性行動の発現に対するPG受容体欠損の効果プロスタグランジン(PG)E2受容体の4種類のサブタイプ(EP1、EP2、EP3、EP4)、またPGF2a、PGD2、PGI2の受容体について、それぞれの受容体欠損が、オス性行動(マウンティング、挿入、射精)に及ぼす影響について解析を行った。その結果、EP4受容体欠損マウスのオスはオス性行動をほとんど示さないことを見出した。(2)視索前野ニューロンの形態形成に対するPGE2ならびにEP欠損の効果野生型マウスを用いた視索前野ニューロン初代培養解析系を樹立した。本培養系では、PGE2(100 nM)がスパイン前駆体であるフィロポディア形成を亢進した。一方、この効果はEP4欠損マウス由来の視索前野を用いた場合には観察されなかった。以上の結果から、PGE2-EP4シグナルは、フィロポディア形成促進作用を示し、これによりオス特異的な神経シナプス形成が促進されるものと考えられた。
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