雄と雌の違いは生殖腺の分化により生まれると考えられている。では、生殖腺の分化以前の雌雄の発生に違いは無いのか? 我々は、生殖巣の分化以前に雌雄の発生を調べるため、トランスジーンを用いた性判別法を用いて、雌雄の胚盤胞を選別し両者の問で遺伝子発現を比較した。この解析から胚盤胞期の雌で過剰に発現するFat45遺伝子を同定することに成功した。更に、この遺伝子はX染色体上に7つのファミリー遺伝子がクラスターを形成しており全ての転写単位が雌で過剰に発現することを発見した。また、DNA多型を用いた発現解析から、この遺伝子はインプリントを受けることにより2細胞期の父親由来のX染色体から発現していることを明らかにした。これはzygoticな遺伝子発現が始まる時期に既に雌雄の間で遺伝子発現が異なることを示している。また同時に、エピジェネティックな遺伝子発現制御が雌雄の発生をコントロールしていることを示唆している。
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