本研究では局所回路から見た脳の機能的性分化について微視組織学的、生理学的な検討を行い、更にこの局所回路的な違いが行動の性差にどのように影響するかについて多角的に考察することを目的としていた。そのため、各種性決定関連分子に対するsiRNAを含むレンチウイルスベクターを作成し、現在はその抑制効果について、生化学的に確認を進めている。一方で性行動および性的二型性の見られる認知行動の探索を行うべく、ストレス耐性や体性感覚情報処理を中心に聴覚、視覚などの感覚情報処理の差異を性差という観点から詳細に検討を加えている。一方で、局所回路(各神経核)の性的二型性を探索する目的で、光受容チャネルタンパク質をコードするウイルスベクターも作成中であり、これについては現在培養神経細胞を用いて、電気生理学的にその効果を確認しているところである。これらのウイルスベクターを上記行動の際に導入することによって、特定の神経核および、局所回路が示す行動学的性的二型性の神経学的基盤の解明につながる者と考えている。
|