研究課題
本研究は、マラリアを「マラリア媒介蚊が有する寄生虫認識メカニズム」という着眼点から解析し、マラリア原虫-ハマダラカの相互作用の全体像を明らかにするものである。申請者は、ショウジョウバエを蚊の代替生物として用いることにより、蚊の体内における新規のマラリア原虫認識分子furrowedの同定に成功し、この遺伝子が蚊体内からのマラリア原虫の排除に働いていることを明らかにしてきた。本研究では、furrowed遺伝子産物が蚊の体内でどのようにマラリア原虫を認識し排除へと導くのか、その詳細を明らかにすることを目的として研究を行った。その結果、Furrowedはハマダラカ中腸におけるパターン認識分子としてマラリア原虫排除因子として機能していることを明らかにした。また、Furrowedの発現パターンの解析の結果、吸血時、一過性に急激な発現上昇が起きることが明らかになった。より詳細な解析の結果、ハマダラカ中腸において吸血時に腸内細菌数の一過性の急激な増加が起こることが明らかになった。また、この増加はFurrowedの発現上昇パターンと高い相関性を示すことが示唆された。以上の結果から、ハマダラカにおけるマラリア原虫の排除には腸内細菌が関与している可能性が示唆された。以上の結果より、ハマダラカ中腸内細菌とマラリア原虫の間には明らかな相互作用が存在することが明らかとなり、ベクター・病原体・腸内細菌の相関関係メカニズムを解析することは感染現象を理解するうえで、大きな知見をもたらすことが示唆された。
すべて 2009 2008
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (3件)
Biochem Biophys Res Commun 376
ページ: 671-676
Parasit Vectors 2
ページ: 15-21
Biochem Biophys Res Commun 379
ページ: 6-10
J Virol Methods 156
ページ: 32-36
