研究課題/領域番号 |
19041009
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
伊藤 亮 旭川医科大学, 医学部, 教授 (70054020)
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研究分担者 |
中谷 和宏 旭川医科大学, 医学部, 准教授 (70109388)
中尾 稔 旭川医科大学, 医学部, 准教授 (70155670)
迫 康仁 旭川医科大学, 医学部, 助教 (40312459)
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キーワード | 寄生虫 / 遺伝子 / 感染症 / 酵素 / 分類 |
研究概要 |
1、多包虫の蛋白分解酵素クローニング、機能解析 多包虫cDNAライブラリーより2種類のカテプシンL様システインプロテアーゼ(EmCLP1およびEmCLP2)遺伝子をクローニングした。それぞれのモノクローナル抗体を用いて、エキノコックス幼虫抽出抗原および分泌・排泄(ES)液に対してイムノブロット解析を行った。その結果、抗EmCLP1抗体は抽出抗原では25.8kDa、ES抗原では25.8および26.1kDaの蛋白質を、抗EmCLP2抗体は抽出抗原では25.8kDa、ES抗原では27.7および31.1kDaの蛋白質を認識した。これらの結果より、両酵素が蛋白質レベルで発現していること、また、一部が分泌されていることが明らかとなった。次に、多包虫での局在を解析するために、免疫組織染色を行った。その結果、両酵素とも胚層、繁殖胞および原頭節で発現していることが確認できた。EmCLP1に関しては、原頭節での発現は確認できたが、その染色性は他の部位に比してかなり弱いものであった。 酵素性状を明らかにするために、組換え活性型酵素の発現を行った。活性型酵素は酵母(Saccharomyces cerevisiae)を用いて発現させ、ニッケルアフィニティークロマトグラフィーにより精製した。その活性型酵素を用いて、ヒトIgG、ウシ血清アルブミン、I型およびIV型コラーゲンおよびフィブロネクチンに対する活性を調べた結果、両酵素ともにそれらを分解する活性を有していた。 2、アフリカのライオン由来のエキノコックス条虫についての分類学的再検討 アフリカ・ウガンダのライオンの糞便に見出されたテニア科虫卵の遺伝子を解析した結果、それはエキノコックス属条虫に属するものであり、南アフリカにおいて保存されていたEchinococcus granulosus felidisと同一であることが判明した。また、他のエキノコックス条虫との比較より、それを独立種(E. felidis)として扱うべきであると結論づけた。さらに、E. felidisはE. granulosus sensu stricto(単包条虫)と姉妹種であることも明らかとなった。
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