研究課題
宿主は感染を認識してサイトカインを放出する。マクロファージが宿主の感染を感知してだす代表的なサイトカインにIL-1βがあるが、これはマクロファージ内でcaspase-1を活性化させるタンパク質複合体Inflammasomeが活性化されるためである。Inflammasomeを構成するタンパク質にはApaf-1と類似のIpaf,NALP3といった分子があり、シトクロムCに結合して活性化されるApoptosomeと同様、リガンド結合依存的に活性化される。ショウジョウバエではInflammasome形成に必要なApaf-1様分子はゲノム中にdapaf-1しか存在していない。dapaf-1はInflammasome同様にApoptosomeというタンパク質複合体を形成し、リガンド依存的にcaspaseの活性化を誘導する。我々は、ショウジョウバエ組織では恒常的なcaspase活性が観察されることを見出した。この恒常的なcaspase活性はdapaf-1変異体で抑制されていることから、ショウジョウバエにおいてはDapaf-1を中心としたApoptosomeがほ乳類でのInflammasomeの機能を補完して、生体防御を行っていることが示唆される。我々は、Dapaf-1による炎症・免疫応答機構を支持するものとして、dapaf-1変異体が組織傷害(上皮損傷)に対して高感受性となり、数日の内に個体死するという結果を得ており、さらなる解析を進めている。野生型の個体は組織傷害されても個体死しない。我々はショウジョウバエ体液成分に、致死性を誘導する活性を見出し、現在その分子を同定するためにプロテオミクス解析を行っている。また、dapaf-1変異体の致死性は、野生型個体のcaspase活性を阻害した場合にも同様に見られることが判った。ショウジョウバエ遺伝学を用いて、様々な組織に特異的にcaspase抑制タンパク質であるp35を発現させて、caspase活性の必要な責任組織のスクリーニングを行っている。スクリーニング及びプロテオミクス解析は現在進行中である。
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