研究概要 |
糖脂質糖鎖遺伝子のノックアウトマウス群を用いて、ボツリヌス毒素、テタヌス毒素、ベロ毒素、サブチラーゼ毒素に対する感受性を検討した。 1.複合型ガングリオシドを欠損するGM2/GD2合成酵素KOマウスにおいては、ボツリヌス、テタヌス両毒素に対して野性型に比べ5〜6倍の生存時間を示し、耐性であることが示された。 2.一方、b系列ガングリオシドを欠損するGD3合成酵素KOマウスでは両毒素間に解離が見られ、テタヌス毒素に対しては耐性が見られたが、ボツリヌス毒素には、野性型との間で差が見られなかった。この事は、ボツリヌス毒素(A,B,E)がb系列ではなく、a系列ガングリオシドを共受容体としていることを示唆しており、新しい知見と考えられる。 3.ベロ毒素に対するCb3/CD77合成酵素KOの感受性を検討したところ、完全に耐性になっており、ベロ毒素の受容体が100%本酵素の産物に依存することが示された。 4.これらの感受性の細胞株におけるin vitroの検討を行うため、各種のガングリオシドを発現する細胞株をB16, SK-MEL-37などを用いて樹立した。 5.サブチラーゼ毒素の受容体がGM2であるとの報告があるため、複合型ガングリオシドを欠損するGM2/GD2合成酵素KOマウスに注入してみたが、野性型マウスとの間に致死性における差異を認めなかった。 6.LPSの細胞毒性発現におけるGb3の有無の効果を検討するためのマウス血管内皮細胞培養系を確立し、そのLPS感受性を検討した。Gb3合成酵素KOマウス由来細胞では、LPSのシグナルがより強く伝達され、iNOSやTNFαなどの遺伝子発現反応が亢進していることが判明した。
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