<背景>SIGNR1はヒトレクチンDC-SIGNマウスホモログの一員である。β-glucan receptor Dectin-1とSIGNR1の両者を発現するMφでは、C. albicansに対するTNF-α産生にSIGNR1が重要であるとの報告がある。そこで、SIGNR1のC. albicans認識による細胞応答への影響をTNF-α産生および殺菌性の細胞内oxidative burstを指標に検討した。<結果>SIGNR1発現RAW264.7においてzymosanおよびC. albicansに対するTNF-産生の昂進が確認された。ところが、このTNF-α産生は親株RAW264.7ではlaminarinによって、SIGNR1導入RAW264.7ではlaminarinと抗SIGNR1 mAbによって強く阻害された。また、これらTNF-α産生はzymosanの熱アルカリ処理および抗TLR2 antagonistic抗体によりほぼ完全に抑制され、SIGNR1とTLR-2の機能的相互作用が示された。次にSIGNR1発現RAW264.7では、C. albicans、zymosanのみならず熱アルカリ処理zymosanに対してもoxidative burst昂進が認められた。熱アルカリ処理zymosanに対するこの効果はPAM_3CSK_4による影響を受けず、TLR2とは独立した経路によると考えられた。次に、抗Dectin-1 mAbおよびシグナルを伝えるSykキナーゼの阻害剤の効果を検討した結果、両者共にSIGNR1のoxidative burst誘導昂進を抑制した。さらに、免疫沈降にてSIGNR1とDectin-1がTLR2を介して結合することも示唆された。以上の結果より、SIGNR1はTLR2およびDectin-1と共同し、それらの働きを昂進することで効果的な細胞応答を惹起すると考えられる。
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