研究課題
私どもは、免疫細胞の発現するペア型レセプターが病原体の認識と密接な関連があるではないかと新たな仮説を立てて研究した結果、その一つである抑制化レセプターPILR(Shiratori et al. J. Exp. Med. 2004)が、単純ヘルペスウィルスI型(HSV1)のGlycoprotein B(gB)と会合することを発見した。そこで、PILR発現細胞に対してHSV1の感染実験を行ったところ、HSV1はPILR発現細胞に感染することが判明した。さらに、PILRトランスフェクタントや種々のPILR発現細胞に対するHSV1感染は抗PILR抗体や可溶型PILRで阻害され、PILRがHSV1のウィルスレセプターであることが判明した(Satoh et al. Cell in press)。これは、免疫応答を抑制しながら宿主細胞に侵入するという今までに知られていない全く新たなウィルス感染機構である。さらに、PILRを介した感染機構を研究した結果、HSVの感染には、今まで言われてきたようにgDとそのレセプターとの相互作用だけでは充分でなく、gDとgBが双方のレセプターと会合することがHSVの感染に必須であることが判明した。本研究により、HSV1が抑制化レセプターを介して免疫細胞に感染して免疫応答を抑えるという新たな免疫逃避機構が判明した。また、本研究は、HSVの感染機構の解明に重要であるばかりでなく、HSVの感染機構の阻害法の開発にも貢献すると思われる。
すべて 2008 2007 その他
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (1件) 備考 (1件)
Cell (In press)
J. Biol. Chem. (In press)
J. Immunol. 180
ページ: 1686-1693
J. Immunol. 64
ページ: 44-46
Eur. J. Immunol. 37
ページ: 3197-3207
Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 104
ページ: 10128-10133
http://immchem.biken.osaka-u.ac.jp/