レジオネラによる肺炎は汚染された温泉などを原因とするアウトブレイクで問題となっている新興感染症である。レジオネラは宿主細胞が持つ貧食作用により侵入した後、ファゴソームを改変してつくりだしたオルガネラの内部で増殖する。このプロセスにはレジオネラの持つDot/Icm IV型分泌系が必須であり、これが宿主細胞内増殖を可能にするエフェクタータンパク質を輸送していると考えられる。我々はレジオネラから宿主真核細胞内へ輸送される機能未知のエフェクターを20以上同定している。本研究ではこれらのエフェクタータンパク質と相互作用する宿主タンパク質の同定・エフェクターと宿主因子の機能の細胞生物学的解析等を通じて、これらエフェクターの宿主細胞内機能を明かにすることを目的とし、以下の研究を行った。1)酵母ツーハイブリッド系を利用したスクリーニングにより、新規エフェクターの一つと相互作用する宿主タンパク質一種を同定した。今後このタンパク質問相互作用を生化学的、あるいは真核細胞中で解析していきたい。2)このエフェクターの宿主細胞中での局在を検討したところ、細胞質中に局在していた。3) レジオネラ含有バキュオール(LCV)にユビキチン化タンパク質が集積することが知られているが、この集積が顕著に減弱するエフェクター欠失株を同定した。今後、このエフェクターと相互作用する宿主タンパク質を同定していきたい。4)E3ユビキチンリガーゼ活性を持つエフェクターLubXと相互作用する別のレジオネラエフェクターを同定した。今後、この相互作用の意義について検討していきたい。
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