様々な病原性微生物が粘膜を通じて体内に侵入してくる。病原細菌の体内伝播を阻止できれば、重篤な全身感染を未然に防ぐことができる。以前われわれは細菌鞭毛成分フラジェリンを認識するTLR5の遺伝子欠損マウスを解析し、経口投与したマウスチフス菌が小腸粘膜固有層のCD11c発現TLR5陽性細胞を病原体運搬細胞として利用し、腸間膜リンパ節や脾臓および肝臓へ伝播することを見いだした。今回われわれは小腸粘膜固有層にCD11cの発現が異なる4種のユニークな細胞群の中でCDllc^<hi>CDllb^<hi>CD1O3^+DCが選択的にTLR5を発現することを明らかにした。次に、このCD11c^<hi>CD11b^<hi>CD103^+DCにおけるケモカイン受容体の発現について解析した。RT-PCR解析の結果、小腸粘膜固有層CD11c^<hi>CD11b^<hi>CD103^+DCはCCR1とCCR7を発現し、なかでもCCR7の発現が最も高かった。そのリガンドであるCCL21に対する遊走応答を確認した。CCR7遺伝子欠損マウスがチフス菌感染に対して強い抵抗性を獲得するかを試している。
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