研究課題/領域番号 |
19041045
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
津田 香代子 岩手医科大学, 薬学部, 助手 (30444524)
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研究分担者 |
吉森 保 大阪大学, 微生物病研, 教授 (60191649)
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キーワード | Porphyromonas gingivalis / 菌感染 / 脂質ラフト / α5β1 integrin / オートファジー / Rab7 |
研究概要 |
メンブレントラフィックとは、細胞内の膜オルガネラや細胞膜を結ぶ物質輸送ネットワークである。メンブレントラフィックのひとつエンドサイトーシス経路を介する細胞貪食/侵入は非食細胞でも起こり、本経路は対細菌戦の最前線となっている。歯周病原因菌であるPorphyromonas gingivalisは宿主に接着し、この経路を利用して細胞内に侵入することが歯周病原性発揮に寄与するといわれている。我々は菌の表層成分をコートした蛍光ビーズ(菌ビーズ)を用いた解析から、脂質ラフトが歯周病菌の侵入に必須であることが明らかにした。更に、ラフトを破壊しても菌ビーズの宿主細胞への接着は阻害されない事から、ラフトは接着後のアクチンリモデリングの際に機能していることが推測された。それを支持する結果として、宿主細胞において、菌ビーズ取り込みに際しRacの脂質ラフトへの局在変化が認められた。そしてラフトを破壊した場合、この変化は起こらず菌ビーズの取り込みも阻害された。つまり、Racの脂質ラフトの移行が接着後に起こるRac依存のアクチンリモデリングよる侵入機構に必須である事を見出した。また、これまでエンドサイトーシス経路で細胞内に侵入し、そこを突破して細胞質に侵入した菌を殺す術はないとされていたが、最近我々は、別のメンブレントラフィック経路であるオートファジーが細胞質に現れたA群レンサ球菌を捕獲し分解することを見出した。更に今回、メンブレントラフィックの制御因子であるRabタンパク質のひとつRab7が、菌を選択的に隔離する巨大オートファゴソームの形成に必須であることを見いだした。Rab7は飢餓で誘導されるオートファゴソーム形成には必要ないので、生体防御オートファジーが膜形態のみならず分子機構においても従来型の異化作用オートファジーと異なることが明らかになった。
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