本研究では結核の潜伏感染成立機構とその宿主応答を解析することによって、成人型結核の主体を占める内因性再燃に対する予防および治療法の開発を行うことを目的とする。IL-15はエフェクターCD8T細胞のアポトーシスを抑制することによってメモリーCD8+T細胞の産生を促進するとともに、homeostatic proliferationを誘導することによって、メモリーCD8+T細胞増殖維持因子として働く。BCGワクチンは、成人の慢性結核症の防御に対しては不完全であり、それゆえ、BCGの代わる結核ワクチンの開発が早急に必要とされている。本年度はBCGワクチン投与後のcontraction phaseにIL-15を投与することでエフェクターCD8T細胞のアポトーシスを抑制し、メモリーCD8+T細胞の産生を促進することに成功した。しかしながら結核に対する防御を高めルコとはできなかた。そこで次に結核菌由来の防御抗原であるAg85BとメモリーCD8T細胞の増殖維持因子であるIL-15の融合蛋白質を分泌するレコンビナントRBCGワクチンを作成して、IL-15/Ag85B融合蛋白質産生Rbcgワクチンの結核感染に対する防御効果をマウスで検討した。IL-15/Ag85B融合蛋白質産生Rbcgワクチンはマイコバクテリア抗原特的メモリーCD8+T細胞のみならず抗原特異的メモリーCD4+T細胞数を有意に増加させ、その結果、強い結核防御を誘導することが明らかとなった。
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