研究課題
赤痢アメーバ症は発展途上国における小児下痢症の主要原因です。流行地に暮らす住民のおよそ10%に本原虫の寄生が認められ、そのまた10%(全体の1%)の住民に赤痢アメーバ症の発症が認められますが、赤痢アメーバ原虫の感染成立のメカニズムならびに同原虫に対する感染防御機構の詳細はほとんど解明されていません。我々は赤痢アメーバ症をより良く理解するために、赤痢アメーバ原虫の感染モデル動物の確立に尽力してきました。そしてCBAやC3Hなど一部のマウスでは、原虫の栄養体を直接虫垂内に接種することによって慢性感染が成立しヒトと同様の病理像が認められる一方、他系統のマウスでは感染が成立しないことを明らかにしました。感染の成立と不成立を規定する遺伝子座を調べる目的で、感染が成立しないC57BL/6マウス(B6)と感染が成立するCBAマウスとの間でF1マウスを作成したところ、B6マウスと同様に感染が不成立でしたので、B6マウスには感染の成立を阻害する因子が優性遺伝していることが明らかになりました。B6CBAF1マウスをCBAマウスに戻し交配して連鎖解析を行ったところ、第一染色体(rs3684370&rs3695988,X_2=10.39,P=0.0006)と第二染色体(rs3695988,X_2=10.39,P=0.0006)に感染の成立・不成立を規定する遺伝子座があることが示唆されました。この知見はヒトの赤痢アメーバ感受性の個体差を理解する一つの糸口になると考えられます。
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