研究課題/領域番号 |
19041060
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
平山 壽哉 長崎大学, 熱帯医学研究所, 教授 (50050696)
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研究分担者 |
磯本 一 長崎大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (90322304)
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キーワード | ヘリコバクター・ピロリ / VacA / 細菌毒素 / 毒性発現 / サイトカイン産生 / 細胞死 / 細菌由来病原因子 / 遺伝子多型 |
研究概要 |
VacAによって炎症反応に関わる誘導型シクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)の発現がAZ-521細胞で亢進した。また、炎症性サイトカインであるIL-8について調べた結果、末梢血CD14^+細胞のみならず、単球系細胞を含む数種の細胞でVacAによるIL-8の産生誘導を認めた。これらの現象はいずれもVacAによってp38 PK/ATF-2経路が活性化されたことに起因することが昨年度までに判明した。一方、β-cateninはカドヘリンと共に細胞接着因子として働く外に、細胞増殖に関わるタンパクの発現を誘導する発癌促進因子のひとつでもある。またβ-cateninは、Wnt経路およびPI3K/Akt経路の構成分子として、GSK3やAPCといった癌抑制因子と複合体を形成して細胞増殖などの調節に関わっている。そこで、VacAによるPI3K/Akt経路の活性化とその経路の下流にあるGSK3β/β-catenin複合体の形成に及ぼす影響を調べるとともに、VacA欠損株を用いた感染実験においても同様な影響を解析した。VacAはAZ-521細胞においてPI3K/Akt経路を活性化し、Aktの下流にあるGSK3βをリン酸化して、GSK3βを不活化することが示唆された。さらにGSK3β/β-catenin複合体の解離が起こり、β-cateninの核内移行が促され、それによる転写が促進した。また感染実験においても、野生株において認められたPI3K/Akt経路の活性化とGSK3β/β-catenin複合体の解離が、VacA欠損株では認められなかった。従って、VacAはPI3K/Aktの活性化を介して胃粘膜細胞の増殖にも関わっていることを示唆していたが、p38MAPK/ATF-2経路とは独立していた。
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