研究概要 |
1)HIV Gag蛋白の細胞内輸送機構 Gag蛋白細胞内輸送の責任宿主機構としてSNARE分子による小胞輸送を見いだしている。そこで、SNARE分子複合体(Qa-,Qb-,Qc-,R-SNAREからなるヘテロ4量体)とGag蛋白の結合を免疫共沈降法で調べたところ、Gag蛋白はQc-SNAREと結合し、Oa-,Qb-,R-SNAREとは結合しないこと、Gag蛋白はその結合にはGag蛋白のMAドメインとQc-SNAREのSNAREドメインが必要とされることが判明した。RNA干渉法でそれらSANRE分子をknockdownすると,Gag蛋白の細胞内局在が変化し、HIV粒子産生量が減少することが明らかとなった。 2)HIV潜伏感染細胞の活性化とそれに伴う粒子産生機構 樹立されたHIV潜伏感染細胞株である、J1.1細胞(HIV潜伏感染Tリンパ球系Jurkat細胞)とU1細胞(HIV潜伏感染単球系U937細胞)をTNF刺激活性化すると、いずれの細胞もHIV産生細胞となった。リアルタイムPCRで定量したところ、HIV産生細胞となったJ1.1細胞ではCD44(形質膜蛋白)の増加がU1細胞ではCD44,SNAP23(形質膜蛋白)とCD63(エンドソーム蛋白)の増加が認められた。HIV粒子が出芽する形質にはこれらの宿主蛋白がリクルートされ集積することが判明した。本研究は、HIV潜伏感染細胞の活性化とそれに伴うウイルス産生機構について、HIV産生がおこるとそのHIV産生に必要とされる宿主因子の発現量が増加し、粒子出芽の場に動員されることを示した。
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