研究課題
樹立されたHIV潜伏感染細胞株である、J1.1細胞(HIV潜伏感染Tリンパ球系Jurkat細胞)とU1細胞(HIV潜伏感染単球系U937細胞)をTNFで刺激活性化し、培養上清と細胞を解析に用いた。また、これらの親株であるJurkat細胞とU937細胞へHIVを感染させ、急性感染細胞として用いた。J1.1細胞とU1細胞をTNFで刺激すると、いずれの細胞もHIV産生細胞となった。粒子産生との関連が示唆されている形質膜やエンドソーム分子の発現プロファイルをqRT-PCRで定量したところ、HIV産生細胞となったJ1.1細胞ではCD44(形質膜蛋白)の増加が、U1細胞ではCD44やSNAP23(形質膜蛋白)とCD63やHRS(エンドソーム蛋白)の増加が認められた。同様の発現変動が急性感染細胞でも認められた。すなわち、感染Jurkat細胞ではCD44が、感染U937細胞ではCD44やSNAP23と複数のエンドソーム分子が増加した。さらに、これらの宿主因子とHIV粒子の細胞内局在を観察したところ、いずれのHIV感染細胞でも粒子は形質膜に局在し、CD44やCD63と共局在した。形質膜からの粒子出芽は電子顕微鏡による観察でも確認された。本研究ではHIV潜伏感染細胞であるTリンパ球系J1.1細胞及び単球系U1細胞の活性化においても粒子出芽は形質膜から起こることを明らかにした。また、潜伏感染細胞でも急性感染細胞の場合でも、HIV産生に伴って、Tリンパ球系ではCD44の発現が、単球系細胞では、同じく形質膜に局在するSNAP23やエンドソーム分子の発現が増加し、それらの宿主因子が粒子出芽の部位に集積したことから、これらの分子が粒子出芽に伴って形質膜にリクルートされる可能性が示唆された。
すべて 2008
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