研究概要 |
カポジ肉腫関連ヘルペスウイルスK3,K5によるMHC class I(MHC I)の抑制機構を新たなシステムを構築する事により解析を行っている。本年度において、K3の機能変異体がドキシサイクリン(Dox)にて誘導的に発現する細胞を作成した。その結果、K3のacidic cluster領域に変異を持ったものは、完全にMHC Iのユビキチン化を抑制しなかったが、優位に細胞表面における抑制を阻害した。さらに、カルボキシル末端に存在するチロシンモチーフを欠損させたものでは、全くユビキチン化を誘導する事が出来ず、さらに細胞表面における抑制も完全に阻害された。これらの結果から、K3にはユビキチン化に必須の領域と、その機能をサポートする領域が存在する可能性が示唆された。現在、これらの変異体を用いて、機能する野生型K3に特異的に結合する分子の同定を行っている。さらに、K5がDoxにて誘導的に発現する細胞を作成する事が出来た。この細胞において、ユビキチン化を受けるMHC Iの細胞内領域のリジン残基を同定する事が出来た。興味ある事には、K3にて報告されている部位と異なったリジン残基が発現抑制に関与している結果を得ている。また、K5によるMHC Iのユビキチン化は、現在報告されている部位とは異なっている部位にて行われている可能性を示唆する結果も得ている。現在、K5においてもK3と同様の手法して、K5の機能をサポートする分子群の同定を行っている。
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