研究課題/領域番号 |
19041074
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研究機関 | 国立感染症研究所 |
研究代表者 |
脇田 隆字 国立感染症研究所, ウイルス第二部, 部長 (40280789)
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研究分担者 |
花田 賢太郎 国立感染症研究所, 細胞化学部, 部長 (30192701)
相崎 英樹 国立感染症研究所, ウイルス第二部, 主任研究官 (00333360)
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キーワード | HCV / ウイルス / 感染実験 / コレステロール / スフィンゴ脂質 / ラフト |
研究概要 |
本研究では培養細胞で作製した感染性C型肝炎ウイルス(HCV)粒子の膜脂質の性状を調べ、HCVの感染、粒子形成におけるウイルス膜脂質の役割を明らかにすることを目的とした。昨年度の研究において、Huh-7細胞で産生された成熟したHCVの粒子表面にはコレステロール、スフィンゴ脂質が存在し、ウイルス感染に重要な役割を果たしていることを明らかとした。これらの脂質はラフト様マイクロドメインの主要構成成分であることから、HCV粒子が脂質ラフトを含む膜を被っている可能性が示唆された。今年度はHCV粒子形成過程における脂質の関与をさらに解析した。HCV粒子の生成過程には細胎内の脂肪滴の関与が報告されている。そこで感染細胞の生体膜をショ糖密度遠心勾配法で分画に分けたところ、HCV蛋白は本来生体膜が存在する密度の分画以外に軽い分画にも検出された。この分画は脂肪滴分画と一致したことから、脂肪滴近傍の脂質に富んだ生体膜を含む可能性がある。さらに、この分画から脂肪滴の精製を行うと生体膜蛋白とHCV蛋白が外れ、脂肪滴成分だけになった。HCV蛋白を含む脂肪滴近傍の脂質に富んだ生体膜分画と精製脂肪滴分画で比較プロテオーム解析を行うことで、HCV粒子形成の"場"に存在する蛋白の同定行い、約50個の候補蛋白が検出された。現在siRNAによるスクリーニングを進め関与する宿主因子の固定を試みている。ウイルス粒子関連脂質および蛋白質はC型肝炎治療薬開発の新たな標的となる可能性があると考えられた。
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