研究概要 |
ヒトヘルペスウイルス6(HHV-6)感染細胞内でのウイルス粒子の挙動および感染細胞の変化を解析するため,電子顕微鏡により感染細胞を観察した。ウイルス感染後期には,非感染細胞では観察されなかった膜様構造物が観察された。その中には多くの小胞に加え,多数のウイルス粒子も観察された。その構造物および小胞は,ウイルスエンベロープ糖タンパク質および後期endosomeのマーカーであるCD63によって染色された。これらの結果より,新たに感染細胞内で形成された膜構造物はMVBであることが判明した。 HHV-6エンベロープ糖タンパク質である,glycoprotein B,M(gB,gM)に対する特異的な抗体を作成した。本抗体は,Western blotおよび免疫染色に使用できる抗体であることが判明した。HHV-6感染細胞を作成された抗体で染色することにより,gBおよびgMの局在を同定した。これらは,一部CD63と共局在したことより,免疫電顕の結果と一致した。 ヘルペスウイルスの粒子形成,出芽に関する遺伝子を検索するため,αヘルペスウイルスに属する水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)の糖タンパク質においても同様の解析を行った。VZVgMに対する抗体を作成し,ウイルス感染細胞における局在を観察したところ,主にTGNに局在することが判明した。また,gM欠損ウイルス感染細胞ではプラークサイズが縮小し,さらに電顕所見において異常なウイルス粒子が観察されたことにより,gMは,細胞間伝播に関与していることが推測された。また,テグメントタンパク質であると考えられるORF49遺伝子に関する解析を行ったところ本タンパク質も同様にTGNに局在し,ウイルス粒子形成に関与していることが考えられた。
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