研究概要 |
本研究は細菌べん毛モーターの真の回転子を明らかにするために,モーター構成素子を1分子単位で蛍光標識することでモーター回転子の回転を可視化することを目指している.本年度の研究において,モーターを蛍光標識するために回転子構成タンパク質FliGのGFP融合タンパク質を用いた.当初の研究計画において,構成素子1分子単位で蛍光標識する手法として,光るGFP融合タンパク質と光らないGFP融合タンパク質の共発現系を計画していたが,単一細胞における両GFP融合タンパク質の発現制御が困難であったため,光活性型GFPを用いた実験系に変更した.平成19年度の研究成果としては以下が挙げられる. 1.光活性型GFPの蛍光を検出するための顕微鏡システムの導入 2.回転子構成素子の光活性型GFP融合タンパク質発現系の構築 3.FliG以外の回転子タンパク質のGFP融合タンパク質発現系の構築 4.光褪色後蛍光回復(FRAP)による回転子構成タンパク質の交換の検出 光活性型GFPは紫色光を照射した場合のみ蛍光を発するGFP変異体であり,紫色光の強度で蛍光標識の数を制御できる.また光活性型GFPを利用した光学系は,膜タンパク質の拡散など他の研究にも広く応用できる.また回転子タンパク質のGFP融合タンパク質のFRAP実験によって,構築完了後のモーターにおいて回転子のタンパク質が交換される可能性が示唆された.これは本研究で見つかった重要な知見である.
|