研究概要 |
同時計測系において光ピンセット用赤外レーザーによる蛍光分子の退色を解消するために、AOD(音響光学素子)を用いて蛍光励起用レーザーと光ピンセット用赤外レーザーを交互にON-OFFする実験系の構築を試みた。現在はAODをレーザー光路に挿入後、光軸調整を行っている段階である。光軸調整の次の段階では赤外レーザー照射時に蛍光色素の退色の影響を調べ、力測定が可能な光ピンセットバネ定数を保持しているかどうかを検討する必要がある。 一方、タンパク質合成の活性を評価するためにはまず、合成されたタンパク質を1分子レベルで可視化する必要がある。そこで基板に固定したリボソームを用いて蛍光タンパク質である変異GFPを翻訳させた。さらに新生タンパク質である変異GFPがリボソームから解離できないようなSecM配列を導入したことにより、翻訳過程をイメージングすることに成功した。また、変異GFPの成熟過程を1分子レベルで調べることにより蛍光発生過程を捉えることができた。これらの成果はタンパク質合成の活性を調べられるだけでなく、タンパク質翻訳メカニズムや新生タンパク質がどのようにフォールディングし機能を発揮するのかをリアルタイム計測により解明するための重要な手法となる。これらの成果は現在論文投稿中である(Uemura, S., Submitted 2008)。
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