研究課題
本申請課題の目的は、回転分子モーターである高度好熱菌Thermus thermophilus由来V-ATPaseのATP合成反応を解明することにある。V-ATPaseのリポソームへの再構成法、プロトン濃度勾配をかけるときの緩衝剤、生成するATPの定量法等を検討し、ATP合成活性測定法の最適化を行った。その結果、再現性があり定量的に反応速度を議論できる系の確立に成功した。プロトン駆動力はプロトン濃度勾配と膜電位から構成される。今回確立した測定系を用いることにより、ATP合成反応がプロトン濃度勾配のみでも駆動されることが明らかになった。ATP合成反応は、プロトンが膜を透過する際発生する回転力によって駆動される。回転力発生に必要なプロトン駆動力を見積もることにより、1分子のATP合成に必要なプロトン透過数が4であることを明らかにした。回転リングのプロトン透過に必須なグノドタミン酸残基の数が12であることが電子線結晶学により明らかになった。以上の結果は、プロトン透過数と合成されるATPの数が非整数比でなくてはならないという従来の説を否定するものになった。
すべて 2007
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)
The Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 103
ページ: 20256-20261