申請者は、DNAマイクロアレイを用いて、オオムギはるな二条の高温障害時の網羅的な遺伝子発現の変動ならびに生殖成長が進展する過程での発生分化に伴う発現変動について、はじめに明らかにし、論文発表した。また、研究支援班の協力により、我々が単離した六条オオムギと親のはるな二条を用いて、それぞれ高温障害時にみられる遺伝子発現の網羅的な解析を行った。その結果、二条と六条を比較して、通常の二条で高く発現している遺伝子の多くが、高温障害時に発現誘導されるこが明らかになった。これらは、本来、六条から二条になる過程で、穎花が退化するのに必要な遺伝子発現と高温障害時の遺伝子発現に一部共通性がみられることを示したものと考えられる。 上記の遺伝子群を含め、現在、高温障害時にみられる葯壁細胞の早期プログラム細胞死に関する遺伝子群の探索をアラビドプシス等への形質転換系を中心に用いて研究を展開している。 また、各種阻害剤などを用いた高温障害への影響についての検討を行い、高温障害時の発生メカニズムに関する解析を行っている。 来年度は、これらの研究をさらに発展させるとともに、アラビドプシスの各種突然変異系統を取り寄せたので、これらを用いた遺伝生理学的な解析も展開したい。
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