1.Hwc1の単離 高密度連鎖解析と塩基配列の比較から雑種弱勢原因遺伝子の1つHwc1がOs01g0607400であると同定された。相補性検定でもHwc2遺伝子を持つ遺伝的背景において弱勢が現れ、個の遺伝子がHwc1であることが確かめられた。また、Hwc1の発現レベルは系統間や温度条件などで変化しないという結果は、アミノ酸置換によるタンパク質の構造の変化が弱勢の原因となっているというこれまでに得られたデータと符合する。 2.Hwc2の単離 Hwc2領域はレトロトランスポゾン、耐病性の遺伝子、繰り返し配列が含まれ、系統間で変異に富み、ハプロタイプ間の組み換えが抑制されていた。従って、この領域はイネの系統分化、種分化を考える上で注目するべき領域の1つであると考えられる。上記により、Hwc2の高密度連鎖解析は難航したが、よく似たハプロタイプ間の交配組み合わせを用いることにより、原因となる変異の領域を約6kbpに絞り込むことができた。その結果、日本晴では、Xa1の他にXa1とよく似た遺伝子がXa1のテロメア側にあり、このNB-LRR遺伝子に弱勢の原因となる変異が含まれていると考えられた。Hwc2がNB-LRR遺伝子であるということは、Jamaicaと日本型イネの間で見られるFl雑種弱勢は、Hwc1の変異を検出したNB-LRRが病原菌に対する抵抗性反応と同様の反応を引き起こしたために起きる一種の自己免疫疾患であることを示す。
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