(1)全年度までに同定したQTL付近のマーカーを考慮しながら、後代の出穂期を調査したが、F1の出穂期が単純に二つのQTL(Hd5領域と、Hd9領域)の組み合わせでは説明できないことが明らかになった。Hd5が他の遺伝子座とのヘテロ領域の組み合わせで出穂が遅くなる遺伝子座として、新たにHd1座の関与示す結果を得たが、さらなるQTLの関与も考えられる。 (2)南京のHd5領域をシークエンスすることで機能欠損を起こす新たなFNPを同定したが、RFLP解析データが存在するイネ在来種・近代品種、332品種のうち、インディカ種約90系統を用いてそのFNPの分布を調べ、それとRFLPデータを比較したところ、このFNPが非常に強いボトルネック効果を北進したインディカ品種に与えたと考えられるデータを得た。 (3)イネの栽培化を明らかにする試みとして、RFLP解析データが存在するイネ在来種・近代品種、332品種のうち、ジャポニカ種約90系統を用いて、栽培化関連遺伝子の機能多型(FNP)の分布を調べた。ゲノムの類似性と選抜されたFNPの分布から、ジャポニカイネの栽培化過程を推定した。(Konishi et al.) (4)計画外の成果として、倉田特定参加研究室が中心となってイネ花粉形成に関するLMマイクロアレイの解析に参加し、そのデータの類似性クラスタデータベースSALAD databaseとマイクロアレイを組み合わせて表示するシステムを考え、公開した。また、シス配列を同定する試みを行い、候補の配列を同定した。(Mihara et al. 2008)
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