研究課題
オートファジー(自食)は真核生物に普遍的に見られる生理現象で、ユビキチン/プロテアソーム経路とは異なるタイプのタンパク質分解経路として近年注目を集めている。オートファジーは、二重膜構造を持つ隔離膜が伸長し、細胞質やオルガネラなどをとり囲み(オートファゴソームの形成)、ここにリソソームが融合することにより内容物が消化・分解される。オートファジーは非常にダイナミックな膜輸送過程が伴うにも関わらず、隔離膜やオートブァゴソームの膜の由来は全く分かっていない。そこで本研究課題では、真核生物に普遍的な膜輸送の制御因子である低分子量G蛋白質Rabに着目し、オートファゴソームの膜形成に関与するRabアイソフォームの同定を試みた。本年度は、NIH3T3細胞の細胞抽出液からGST pull-down法によりある種のRab(以下Rab^<Atg16L>と略)が隔離膜の伸長に必須の役割を果たすAtg16LとGTP依存的に結合することを見いだした。興味深いことに、Atg16LのRab^<Atg16L>結合部位はAtg16Lの中央部分のcoiled-coil領域であり、この領域を細胞に過剰発現させるとオートファジーが強く阻害されることが明らかとなった(Mol. Biol. Cell (2008) inpress)。また、Rab^<Atg16L>の変異体の発現によりオートファジーが抑制されることも見いだした。現在、Atg16LのRabエフェクターとしての機能と、Atg16L-Rab^<Atg16L>複合体のオートファジーにおける役割をさらに検討中である。
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http://www.lifesci.tohoku.ac.jp/teacher/neuro/t_fukuda.html