研究課題
本研究では、ユビキチン・プロテアソーム系によるクロマチン構造制御メカニズムを解明することを目的とし、クロマチン構造を制御する新規ユビキチン・リガーゼNRDFと脱ユビキチン酵素HAUSPの解析を分子レベル、個体レベルで行う。これまでに、NRDFはリガンド誘導性転写因子である核内受容体に結合し、標的遺伝子群の転写活性を促進することを明らかにした。また、NRDFの標的蛋白質として、クロマチン構造を変換し、転写を抑制するNuRD蛋白質複合体を同定した。そこで、今年度はNRDFによるNuRDの機能阻害機構の解析を行い、以下の点を明らかにした。A)NRDFが転写活性とヒストン修飾に与える影響の検討NuRDはヒストンを脱アセチル化することによって転写活性を抑制する。そこで、GAL4と融合したNuRD複合体の構成因子蛋白質の転写活性抑制能に対するNRDFの影響をルシフェラーゼアッセイを指標に検討した。その結果、NuRDによって抑制された転写活性はNRDFによって量依存的に回復することが明らかとなった。また、その際のヒストシのアセチル化状態を抗体を用いて調べたところ、NRDFは、NuRDと結合し構成蛋白質をユキチン化することから、クロマチン構造を変換し、転写を制御すると考えられる。B)NRDFによるNuRDのユビキチン化と分解の検討NuRDはMi-2やHDACなど複数の蛋白質からなる転写抑制因子複合体である。そこで、NRDFがNuRDのどの構成因子と結合するのか、また、どの因子をユビキチン化するのかを調べる。具体的には、NuRDの各サブユニットのcDNAをクローニングし、個々のcDNAにタグを融合させた状熊でNRDFとともに細胞内に共発現させて免疫沈降りし、結合とユビキチン化状熊の変化を観察した。その結果、NRDFはNuRD復合因子のMTA2と直接結合することユが明らかとなった。また、ユビキチン化については、HDAC1/2のユビキチン化がNRDFによって促進することが明らかになった。
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