研究課題
アルツハイマー病発症に関わるAβ産生を遂行する酵素であるγセクレターゼは、膜内配列切断酵素の一つであり、同時に様々な一回膜貫通型蛋白を基質としてシグナル伝達に関与しているため、単純な活性阻害では副作用が誘発される可能性が示唆されている。そのため基質特異的に切断を阻害する阻害剤開発が求められている。これまでに申請者はγセクレターゼがプレセニリン・ニカストリン(NCT)・APH-1・PEN-2を基本構成因子とする高分子量膜蛋白複合体であることを明らかにしてきた。しかし近年、γセクレターゼにはなんらかの「制御因子」が-過性ないし構成性に結合し、酵素活性の異なるγセクレターゼを生じる可能性が示されている。本研究においては、γセクレターゼの細胞内局在を見分ける抗ニカストリン抗体による複合体の精製と膜蛋白ショットガンプロテオミクスを組み合わせ、γセクレターゼに基質選択性を与える分子基盤の解析を目的として、γセクレターゼ複合体構成因子の一括同定・機能解析を行った。その結果、活性型γセクレターゼがテトラスパニン分子群によって形成される特殊な膜マイクロドメイン(Tetraspanin Enriched Microdomain、TEM)の構成タンパクと相互作用していることを見出した。TEM構成タンパクのノックダウンによりAβ産生が優位に低下したことから、TEMに局在するγセクレターゼを特異的に標的とすることにより副作用の低減されたアルツハイマー病治療薬が可能となる可能性が示された。
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Journal of Biological Chemistry 284
ページ: 1373-1384
Expert Opinion in Patents 18
ページ: 1097-1100
http://www.f.u-tokyo.ac.jp/~neuropsc/index.html