研究課題
上記研究課題に従い、当初の実験計画をほぼ完了したので報告する。ウニ精子プロテアソームの受精における役割を検討した。材料としては、主にアカウニを用いた。プロテアソーム阻害剤であるMG-132はアカウニの受精を強く阻害したが、キモスタチンやロイペプチンは、100μMで阻害効果を示さなかった。次に、3種のプロテアソーム基質による阻害を調べたところ、Boc-Leu-Leu-Glu-MCAが受精を強く阻害するが、キモトリプシン活性の基質であるSuc-Leu-Leu-Val-Tyr-MCAは100μMで有意な阻害効果を示さなかった。プロテアソームが先体反応に関与する可能性が指摘されているが、その詳細な解析は行なわれていない。そこで、プロテアソームの先体反応における関与について検討した。その結果、卵ゼリーにより誘起される先体反応はMG-132で阻害されるが、カルシウムイオノフォアA23187により誘起される先体反応は阻害されないことから、卵ゼリー刺激からカルシウム流入に至る過程でプロテアソームが関与することが示唆された。次にライシンの可能性について検討した。まず、精子の固定卵への結合に及ぼすMG-132の効果を調べたところ有意な差は見られず、精子の卵黄膜への結合にプロテアソームが関与する可能性は低いと考えた。そこで、先体反応を誘起させた精子の卵ゼリー除去卵の受精に及ぼす影響を調べたところ、MG-132によって阻害されることが示された。3種のプロテアソーム基質を用いて活性測定し、受精阻害スペクトルと合致する活性を調べたところ、Boc-Leu-Leu-Glu-MCAの活性に対する阻害パターンと一致した。また、精子先体反応内容物中には、プロテアソーム活性と抗体で検出される抗原が存在することが示された。以上の結果は、ウニ精子先体胞内にプロテアソームが存在し、受精時の先体反応に伴って表面に露出または放出され、卵黄膜成分の分解に関わる可能性が高いと思われる。
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http://www.bio.nagoya-u.ac.jp/%7eSugashimaMBL/Marine.html