研究概要 |
上記研究課題に関して, 当初の計画に従って研究を行ったので報告する。 精子ユビキチン-プロテアソームシステムは、マボヤ精子の卵外被通過の際に精子通過口を開けるライシンとして機能する事をすでに報告している。特に、プロテアソームは、マボヤ精子頭部表面に存在することを、活性染色法を用いて明らかにしている。一方、ウニにおいても、その受精がプロテアソーム阻害剤で阻害されることや、卵ゼリーにより先体反応を誘発した際に、上清に放出される画分(先体内容物)中にプロテアソームが存在することを報告している。これらのことは、精子先体胞や細胞膜表面にプロテアソームを輸送する未知のシステムがあることを暗示している。そこで、平成20年度は、GFP-プロテアソームをマウス精子で発現させ、それが本当に先体に移行するか否かを検証するとともに、先体への輸送機構や受精における機能を解析する実験を開始させた。GFP融合α4サブユニット遺伝子を適切なプロモーターと連結してマウスに導入し、遺伝子改変マウスの作製を進めている。ついで、精子プロテアソームの輸送を探る目的で、ペルオキシソームへの移行シグナルのような特殊なアクロソーム移行シグナルがプロテアソームサブユニットに存在するか否かについて検討した。マボヤを材料として、精子から20Sプロテアソームを精製し、そのサブユニット組成を他の細胞のものと比較した。その結果、精子、卵、筋肉由来のα6サブユニットは、分子量・等電点において、明らかに異なることが示された。しかも、C末端側にその違いがあるという知見も得られ、現在、臓器によってサブユニットが異なる機構を解析中である。
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