オートファジーは細胞内の大規模な蛋白質分解機構であり新規にオートファゴソームと呼ばれる膜構造体が形成し分解基質を囲み込み、それをリソソームへ送り込むことで分解が起こる。オートファゴソームの形成機構においてAtg8/LC3系とAtg12系の2種のユビキチン様の反応が関与する。Atg12系の欠損はAtg8/LC3系のホスファチジルエタノールアミンへの共有結合反応を阻害するがその理由は永らく不明であった。今回我々は、Atg12とそのターゲットAtg5さらにそれらに結合すると共に自己会合することで800kDaの超複合体を形成するAtg16のそれぞれを動物培養細胞系でアデノウイルスベクター系を用い大量発現させると、Atg12とAtg16でLC3の脂質化反応を阻害することをみいだした。その分子機構の詳細を調べることで、Atg12-Atg5-Atg16複合体はAtg8/LC3系のE2酵素Atg3をターゲット膜ヘリクルートしそこで脂質化反応を起こさせる役割があることをみいだした。このことよりAtg12-Atg5-Atg16複合体は全く新しいタイプのユビキチン様反応におけるE3酵素であると見なせることが判明した。またPI3キナーゼがこの複合体のリクルートに重要な役割を担っていることも判明した。これはオートファジー最大の問題であるオートファゴソームの膜が何処から起因するかという疑問に直接的にアプローチすることを可能とする重要な知見である。
|