これまでに我々は腫瘍壊死因子(TNF)による細胞死誘導において主要な役割を果たすカスパーゼが活性化される際に、カスパーゼー8の阻害タンパク質であるFlipがユビキチンリガーゼItch依存性にユビキチン化を受けてプロテアソーム依存性に分解されることを見いだしてきた。さらに、この応答は肝臓における炎症や、発癌に連関することも見いだしてきた。さらに本研究においてこの分子機構を解析する過程で、この細胞死誘導の分子機構にはTNFに応答して産生される活性酸素種による酸化ストレスが関与しており、醇化ストレスがMAPキナーゼホスファターゼを失活させることによりJNKの活性化を誘導すること、さら比活性化されたJNKはItchの活性を亢進して最終的にカスパーゼの活性化を引き起こし、最終的にカスパーゼの活性化により細胞死抑制効果を有するAktの分解が引き起こされることが細胞死の誘導に決定的な役割を有することを見いだした。一方、TNFによるNF-κBの活性化制御にはRIP-1が必須の役割を担っている。興味深いことにTNFの刺激に応答ZORIP-1のユビキチン化とプロテアソームによる分解が誘導されるが、このユビキチン化にはItchが関与することと、TNFによるRIP -1の分解誘導にはNF-κbが抑制的に機能することを見いだした。さらにItchによるRIP-1の分解にはItchとA20やTAX1BP1の複合体が関与するが、NF-κbはこの複合体の形成に抑制的に作用することを見いだした。
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