我々は腫瘍壊死因子(TNF)による細胞死誘導においてカスパーゼ-8の阻害タンパク質であるcFlipがユビキチンリガーゼItchを介してプロテアソーム依存性に分解されることを見いだしてきた。また、NF-κBはItchの活性化を抑制してcFlipの分解を阻害し、細胞死を抑制するが、TNFによるNF-κBの活性化制御には必須の役割を担うRIP-1のユビキチン化と分解にはItchとA20やTAX1BP1の複合体が関与することがごく近年に明らかにされてきた。この分子機構を解析する過程で、我々はNF-κBがItch・A20・TAX1BP1複合体の活性制御に関与することを見いだした。興味深いことに、NF-κBはA20の遺伝子発現を誘導することによりこの複合体形成に関与するのみならず、RIP-1やTAX1BP1との相互作用により複合体形成に関与する可能性が示唆された。一方、酸化ストレスはItch・A20・TAX1BP1複合体形成に関与するが、NF-κBの活性も酸化ストレスによる制御を受容する。NF-κBの活性は通常は阻害タンパク質IkBaにより抑制されているが、Ikkbによりリン酸化されたIkBaはユビキチン・プロテアソーム系により最終的に分解される。この反応によりNF-κBは活性化されるが、この反応はおもに炎症性サイトカインの応答で駆動される。これに対して酸化ストレスによるNF-κBの活性制御機構のメカニズムは依然として不明であった。我々はUV照射に伴うNF-κBの活性化機構を解析し、IKKbがリン酸化非依存生にIkBaの分解を引き起こしてNF-kBを活性化する新規機構を見いだした。
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