細胞には、小胞体に蓄積した異常タンパク質を細胞質へと放出し、ユビキチン-プロテアソーム系により分解処理する小胞体関連分解(ERAD)と呼ばれる機構が備わっている。この過程では、AAAファミリーに属するシャペロン様ATPaseであるVCPが重要な役割を果たす。VCPは、様々なアダプター分子と結合して多様な細胞機能に関与するが、申請者らはVCP結合タンパク質として新たにUBXD1を同定し、両タンパク質の結合様式を解析してきた。本研究では、UBXD1がVCPとの相互作用を通じて、細胞機能の調節にどのような役割を果たすのかを調べるために、ERADの代表的モデル基質である変異型CFTR(CFTRΔF508)を発現する培養細胞系を確立し、UBXD1のERADにおける機能を検討した。その結果、UBXD1の過剰発現とノックダウンは、ともにERADによるCFTRΔF508の分解に対して抑制的効果を示すことが明らかとなった。これらの結果から、UBXD1はVCPとの結合を通して、ERADの効率を制御する因子である可能性が示された。
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