研究概要 |
ユビキチン依存タンパク質分解経路は、細胞周期、ストレス応答、ミスフォルド蛋白質の選別・除などの細胞生理機能において、タンパク質の選別と分解を制御する中心的役割を果たしている。細胞周期のG2/M転移は秩序だった細胞増殖を保証する重要な機構の1つで、それらを正・負に制御する調節因子群はユビキチンープロテアソーム経路に依存した選択的分解により調節制御される。なかでも、サイクリンの分解経路はCDKの継時的活性を担う重要な調節機構で、ユビキチンープロテアソーム経路に依存して分解されることが知られているが、その選択的分解のしくみの詳細はよくわかっていない。本年度はその分子機構を詳細に解析するため、両性類卵と出芽酵母を解析系に用いて、サイクリンなどのタンパク質分解の選択的調節に関わるUBL-UBA蛋白質(XDRP1、Rad23,Dsk2)の機能解析を行った。その結果、両生類UBL-UBAタンパク質(XDRP1)の解析により、UBL-UBAタンパク質とサイクリン両者のcdc2活性に依存したリン酸化がM期のサイクリンの選択的分解において共に重要な働きを持つことを明かにした。また、分解基質をプロテアソームに運ぶ配送の調節経路を明らかにするために、出芽酵母の分子遺伝学的解析を行った結果、UBL-UBAタンパク質(rad23/Dsk2)と結合してClb2,Sic1基質分解を制御する新規因子Pth2(Peptidyl Trna hydrolase2)を見出し、配送経路における負の制御経路のしくみを明らかにした。また、細胞周期の核機能を調節するRCC1ついてほ乳類培養細胞を用いた解析を行い、cdc2キナーゼに依存したRCC1のN末端リン酸化と細胞周期制御の関係、RCC1結合因子であるRas様Gタンパク質Gtr1/Gtr2のクロマチンのサイレンシングへの関与について明らかにした。
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